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時間つぶしにオイラーの多面体定理の話でもしましょうか。

480px-Leonhard_Euler_2.jpgレオンハルト・オイラー‬(1707-1783)は数学や物理学のいろいろな分野で多大な功績を残した大数学者です。有名な成果にオイラーの公式(下記)などが挙げられます。



この式は複素解析や電気工学、物理学の分野でよく使われる式ですね。

今回は位相幾何学(トポロジー)の始まりとなった多面体の定理を取り上げてみましょう。通常の立体の多面体原理は下記のような簡単な式であらわすことができます。オイラーが最初に提唱しました。

頂点(Vertex)の数をv,辺(Edge)の数をe,面(Face)の数をfとすると



例えば正六面体を考えると頂点の数v=8、辺の数e=12、面の数f=6
つまりv-e+f=8-12+6=2ですね。これはどのような立体にも当てはまるというわけです。

この定理から正多面体は5個しかないなどという結果を導くことができます。正多面体は4面体(正三角形が4面)、6面体(正方形が6面)、8面体(正三角形が8面)、正12面体(正五角形が12面)、正20面体(正三角形が20面)。下記の図はWikipediaからの引用ですが、それぞれの正多面体を回転させて分かりやすく見せた物です。順番に左から 4、6、8、12、20面体をあらわしています。平面二描かれる正多角形は無限に存在する事は直感的にも分かりますが、次元を一つ上げただけで同じような性質をもった立方体がたったの5個しかなくなるというのも数学の不思議ですね。下の図は存在可能な5個の正多面体をあらわしています。

120px-Tetrahedron-slowturn.gif120px-Hexahedron-slowturn.gif120px-Octahedron-slowturn.gif256-XX-dodecahedron.gif120px-Icosahedron-slowturn.gif

さて今回はこの多面体の定理を2次元の世界で表現するとどうなるのか?ちょっと考えてみましょう。
無限に広がる平べったい平面上に書かれた図形の頂点vと辺eと面fとすると次の関係になるというお話。



この証明は下の図で説明できます。ただこれが本当に厳密な証明と言えるかどうかはまた別の話ですが。

1) 最も簡単な形を考えます。それは頂点が一つの場合。この場合は、



これを添字を使って下記のように示します。



2) 上記1の状態に頂点を1つ加えると辺が1個増えます。



この二つの場合を図に示すと、

オイラー1

3) さらに頂点を1つ増やすと面が1つ増えて辺が2個増えます。この状況を示したのが、下図です。
オイラー2

この状況を式であらわせば、



ただし  である。これは頂点を一つ増やしても増加分の計算結果は常にゼロであるという事です。

4) 同じ事を繰り返します。
オイラー5

式であらわすと、

 であるならば




つまりの時成り立てばのときも成り立つ。したがってこの式はが正の整数であれば全て成り立つ。と言えるのではないでしょうか。一応数学的帰納法らしき表現ですね。

ただしこの式は永遠に広がる平面上の話に限ります。閉じた平面、例えば球体の表面などに関して言えば成り立ちません。線分一つで面が2個に分かれるからです。
その場合は  になるでしょう。これは多面体のオイラーの定理と同じですね。

それではドーナツのような平面の場合は?ドーナツの面では閉じた線分で面が2個できる場合と1個しかない場合があります。切り方によるわけです。したがってV-e+fの値が常に1になるとは限らないといえますね。下図参照。
トーラス断面

4次元やそれ以上の次元の空間でのこの式は色々と拡張の話が出てきますね。

4次元の場合は、  などという  (胞)という変数が増えるようです。頂点(vertex=v)、辺(edge=e)、面(Face=f)、胞(cell=c)だそうです。もっと一般的にv、eやfとか書かずに とあらわして m=1,2,3...とするようです。この方式で書くと多次元に拡張された多面体定理は、



の場合は となりオイラーの多面体定理になります。この一般化された定理をシュレーフリの定理と呼ぶそうです。ここで不思議なのはこの定理では、いつも の和は0であるか、2であるかのどちらかになります。そうすると今まで話をして来た真っ平らの平面上でのオイラーの変形型(和が1になる)はどのようにこの定理に内含されるのでしょう? これちょっと宿題になりますね。

話は少し変わりますが、オイラーの一筆書きの話。プロイセン王国の首都ケーニヒベルグを流れるプレーゲル川に架かる7つの橋の問題の話しましょう。問題はこの7つの橋を2度渡らずに全ての島をわたて元に戻ってこられるかという話です。これをオイラーはこの橋を下記のようなグラフに変えて考えました。頂点と線分、その面からなる構造を考えたのです。上記の問題はこの右の図が一筆書きでできるかどうかと同じことになりました。

オイラー4

一筆書きができるかどうかの判定基準は
1)全ての頂点二つながっている辺の数が寓羽数である場合は可能で一筆書きは同じ所に戻ってくる。
2)頂点につながっている辺おかずが奇数の場所が2で残りが偶数であること。その場合は奇数の頂点1から奇数の頂点2を終点とする一筆書きができる。

ケーニヒベルグの図形は頂点に接続される辺の数が奇数になる場合が4個あったのでこれは上記の条件に当てはまらないので一筆書きは不可となったのでした。そしてこの図では一筆書きが出来ない事を証明してケーニヒベルグの問題は答がない事を解決しました。このように具体的な地形から本質的な性質を抽出してその特徴を考えるという手法はこの後位相幾何学(トポロジー)として発展していきます。

Mug_and_Torus_morph.gif
上図(Wikipediaから)のマグカップはドーナツと同じ位相を持った立体という事ができる位相幾何学(トポロジー)の一面を示しています。面白い数学の分野ですね。オイラーはこの分野について新しい数学の存在を示したのでした。



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