前に紹介しました→ 原鉄道コレクションを展示する原鉄道模型博物館が今年の夏に横浜に開館されるのと新橋横浜間の鉄道開通140周年を記念して今回『究極の鉄道模型展』と称する展覧会が東京芝の東京タワーフットタウンで開催されました。今までは本、雑誌などでその模型について知っていたのでしたが、実物を見る良い機会が出来ました。内部写真もOKでしたので少し紹介したいと思います。
模型展入場券と原信太郎氏

まず最初の展示室で原コレクションの歴史を振り返ります。
原模型は45mmゲージのレールを走る1/32の縮尺を持った模型が主流です。それ以下の大きさだと正確に実機を模型化するのは困難であるという一貫した姿勢を持たれているようです。とくにこだわっているのが動力関係で実機と同じく惰性運転が出来るようになるべく忠実に再現しているそうです。そこに機械技術者魂が垣間見えます。場合によっては実機にない先端的な構造を持った台車も使われていて鉄道技術者が舌を巻くものもお持ちだそうです。作るからにはいい加減なものを作りたくないというポリシーがあるとの事です。子供は子供なりに模型の走行を見るのはわくわくするでしょうし、鉄道技術者にも目を見張らさせる内容を持っている。見る側もそれぞれの見識レベルによって充分楽しめる奥の深いモデルを作っているなと感じました。当然ながら全て精密に作らた模型は走らせる事が可能です。
入り口を入ってすぐ飛び込んでくるのがこの鉄道模型です。これは原信太郎コレクションの原点とも言えるものだそうです。原氏は東京に生まれ、関東大震災を経験しました。その時コレクションの一つであったこの模型を持って避難したそうです。錆び付いて痛々しい形をしていますが、この電車の事をずっと大事にする心で今日の膨大なコレクションを持つに至ったと説明書きにありました。
次の展示室は外国(主にヨーロッパ)の鉄道模型が並んでいます。
ドイツとスイスの機関車を4種類程紹介しましょう。
左下の写真はドイツ鉄道を代表する電気機関車でE103型です。あえて日本で言えばEF58でしょうか。メルクリンの模型でもこの卵形をした電気機関車は有名です。日本にはないデザインですね。原信太郎氏はこの機関車を特別に運転する事を許されたようです。今はもう古くなってきましたが常にオリエント急行やラインゴールド号などの優等列車を牽引していたそうです。
右下の電気機関車もドイツを代表する高性能の車両E19です。この機関車はヒットラー政権下で製造されたので車体にはナチの鷲のエンブレムが取り付けられています。この機関車は225Km/hの速度を記録しています。現在ドイツ国内で数台動態保存されていて、記念列車を牽引したりしています。展示されているモデルは1/32の縮尺で大変気品があるものです。私も1/220スケールの同型機を保有しています。

写真左下はドイツのバイエルン地方でよく使われたE71型貨物用機関車。Glettiise『アイロン』の愛称で親しまれていたそうです。凸型の小さい電気機関車で中央にラジエーターがあります。このモデルを見ると相当精巧に作られていることが分かります。原氏はこの機関車がお気に入りで色違いのものを6両もつくられたようです。

写真右上はスイスの電気機関車。BLS Ae6/8型です。蛇足ですが、スイスの電気機関車は番号が統一されていて下記の表のようになっています。この機関車の場合はAeなので最高速度は80Km/h以上、集電期を持った機関車となります。6/8は動輪軸数/全車輪軸数という意味で8軸の車輪のうち6軸が動力で1軸づつ前輪を持った機関車である事が分かります。ところでこの機関車はBLSというスイス最大の私鉄に所属する機関車で20世紀後半まで現役で働いていました。BLSとはベニス-レッチェベルグ-シンプロン鉄道のことです。アルプス越えのスロープが多い鉄道で強力な機関車が必要でした。

オリエント急行などに使われたワゴンリー社の豪華客車の模型です。列車の中も正確に作り込まれています。
これは食堂車で、テーブルの上に生花、陶器のお皿、メニューなどが置かれています。普通席では子供がうれしそうにしていますね。服装の一つ一つ手作りだそうです。外装は木製の板張りでそれは豪華なものであったそうです。その装飾も完全に再現しています。ここには映っていませんが、食堂車の厨房ではコックがパスタを調理している様が作り込まれています。

日本の電気機関車もありました。ED16型電気機関車です。実機の写真も先日青梅鉄道公園で撮影したものがありましたので、並べておきましょう。1931年中央本線甲府の電化や上越線の清水トンネル区間の電化で製造された機関車です。その後1950年までに立川機関区と鳳機関区(大阪府堺市)に配属されました。阪和線で貨物や旅客を牽引していた機関車です。実は私が小さい頃和歌山機関区でよく見かけた電気機関車なのです。懐かしい感じがします。運転室の前にデッキがある特徴のある形をしていますね。模型は銅板を加工して作られていて大変綺麗な仕上がりになっています。

最後のセクションには大きなレイアウトがありました。
45mmゲージのレールでの走行は圧倒的な迫力があります。HOやNゲージとは比べ物になりません。悠々と列車が走っている様子は一見本物のように見える感じがします。
写真左はスイスの電車、車両の横にベルニナと書いてありますね。昔使われていたベルニナ路線の電車かも知れません。右は原鉄道の創作模型の箱根登山鉄道の木製電車。残念ながらよく見ると片側のボギー台車が脱線しているではありませんか。これが惜しかったですね。

レイアウトでの運転の模様を動画でご覧ください。
来年横浜に開館されるときにはもっとたくさんの車両が展示されるでしょう。とくに洋銀製のイタリアのE626型電気機関車(一番上の写真で原氏が愛おしく見つめている機関車)に会える事が楽しみです。
今回鉄道模型展が開催された東京タワーの様子です。いま東京スカイツリーが人気ですがやはり長年東京のランドマークを担ってきた東京タワーは偉容を誇っています。裾広がりのバランスが良い形をしています。もはや戦後でない時代を感じさせる一つの元気シンボルとして長い間日本を励ましてきました。昨年の東日本大震災で曲がった先端のアンテナが今修理中です。修理後は今一度その勇姿を取り戻すでしょう。

模型展入場券と原信太郎氏


まず最初の展示室で原コレクションの歴史を振り返ります。
原模型は45mmゲージのレールを走る1/32の縮尺を持った模型が主流です。それ以下の大きさだと正確に実機を模型化するのは困難であるという一貫した姿勢を持たれているようです。とくにこだわっているのが動力関係で実機と同じく惰性運転が出来るようになるべく忠実に再現しているそうです。そこに機械技術者魂が垣間見えます。場合によっては実機にない先端的な構造を持った台車も使われていて鉄道技術者が舌を巻くものもお持ちだそうです。作るからにはいい加減なものを作りたくないというポリシーがあるとの事です。子供は子供なりに模型の走行を見るのはわくわくするでしょうし、鉄道技術者にも目を見張らさせる内容を持っている。見る側もそれぞれの見識レベルによって充分楽しめる奥の深いモデルを作っているなと感じました。当然ながら全て精密に作らた模型は走らせる事が可能です。

次の展示室は外国(主にヨーロッパ)の鉄道模型が並んでいます。
ドイツとスイスの機関車を4種類程紹介しましょう。
左下の写真はドイツ鉄道を代表する電気機関車でE103型です。あえて日本で言えばEF58でしょうか。メルクリンの模型でもこの卵形をした電気機関車は有名です。日本にはないデザインですね。原信太郎氏はこの機関車を特別に運転する事を許されたようです。今はもう古くなってきましたが常にオリエント急行やラインゴールド号などの優等列車を牽引していたそうです。
右下の電気機関車もドイツを代表する高性能の車両E19です。この機関車はヒットラー政権下で製造されたので車体にはナチの鷲のエンブレムが取り付けられています。この機関車は225Km/hの速度を記録しています。現在ドイツ国内で数台動態保存されていて、記念列車を牽引したりしています。展示されているモデルは1/32の縮尺で大変気品があるものです。私も1/220スケールの同型機を保有しています。


写真左下はドイツのバイエルン地方でよく使われたE71型貨物用機関車。Glettiise『アイロン』の愛称で親しまれていたそうです。凸型の小さい電気機関車で中央にラジエーターがあります。このモデルを見ると相当精巧に作られていることが分かります。原氏はこの機関車がお気に入りで色違いのものを6両もつくられたようです。


写真右上はスイスの電気機関車。BLS Ae6/8型です。蛇足ですが、スイスの電気機関車は番号が統一されていて下記の表のようになっています。この機関車の場合はAeなので最高速度は80Km/h以上、集電期を持った機関車となります。6/8は動輪軸数/全車輪軸数という意味で8軸の車輪のうち6軸が動力で1軸づつ前輪を持った機関車である事が分かります。ところでこの機関車はBLSというスイス最大の私鉄に所属する機関車で20世紀後半まで現役で働いていました。BLSとはベニス-レッチェベルグ-シンプロン鉄道のことです。アルプス越えのスロープが多い鉄道で強力な機関車が必要でした。

オリエント急行などに使われたワゴンリー社の豪華客車の模型です。列車の中も正確に作り込まれています。
これは食堂車で、テーブルの上に生花、陶器のお皿、メニューなどが置かれています。普通席では子供がうれしそうにしていますね。服装の一つ一つ手作りだそうです。外装は木製の板張りでそれは豪華なものであったそうです。その装飾も完全に再現しています。ここには映っていませんが、食堂車の厨房ではコックがパスタを調理している様が作り込まれています。

日本の電気機関車もありました。ED16型電気機関車です。実機の写真も先日青梅鉄道公園で撮影したものがありましたので、並べておきましょう。1931年中央本線甲府の電化や上越線の清水トンネル区間の電化で製造された機関車です。その後1950年までに立川機関区と鳳機関区(大阪府堺市)に配属されました。阪和線で貨物や旅客を牽引していた機関車です。実は私が小さい頃和歌山機関区でよく見かけた電気機関車なのです。懐かしい感じがします。運転室の前にデッキがある特徴のある形をしていますね。模型は銅板を加工して作られていて大変綺麗な仕上がりになっています。


最後のセクションには大きなレイアウトがありました。
45mmゲージのレールでの走行は圧倒的な迫力があります。HOやNゲージとは比べ物になりません。悠々と列車が走っている様子は一見本物のように見える感じがします。
写真左はスイスの電車、車両の横にベルニナと書いてありますね。昔使われていたベルニナ路線の電車かも知れません。右は原鉄道の創作模型の箱根登山鉄道の木製電車。残念ながらよく見ると片側のボギー台車が脱線しているではありませんか。これが惜しかったですね。


レイアウトでの運転の模様を動画でご覧ください。
来年横浜に開館されるときにはもっとたくさんの車両が展示されるでしょう。とくに洋銀製のイタリアのE626型電気機関車(一番上の写真で原氏が愛おしく見つめている機関車)に会える事が楽しみです。
今回鉄道模型展が開催された東京タワーの様子です。いま東京スカイツリーが人気ですがやはり長年東京のランドマークを担ってきた東京タワーは偉容を誇っています。裾広がりのバランスが良い形をしています。もはや戦後でない時代を感じさせる一つの元気シンボルとして長い間日本を励ましてきました。昨年の東日本大震災で曲がった先端のアンテナが今修理中です。修理後は今一度その勇姿を取り戻すでしょう。

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